１９５４年に初めてゴジラが日本を襲った。
　僕が生まれる７年前である、。
　しかし、芹沢大助博士が開発したオキシジェン・デストロイヤー（液体中酸素破壊剤）により倒された。
　芹沢博士がオキシジェン・デストロイヤーを開発したという噂を知った者たちが、彼にゴジラ退治にオキシジェン・デストロイヤーを使う事をせがむが、彼は最初「オキシジェン・デストロイヤーを世に出したくはない！」と拒むが、ゴジラが国土を凌辱する姿を知り、これを了承した。

　海に眠るゴジラの傍へオキシジェン・デストロイヤーを持った芹沢博士自らが向かいそれ作動させた。
　同時に潜水服ヘルメットに付いたエアーパイプを切り自死したのである。
　残された芹沢博士の遺書には、「オキシジェン・デストロイヤーが兵器に転用されれば多くの人間が死ぬことになる。　そうならない為に研究所に残る資料は全部焼き払い、自らの頭の中に残る研究資料も死ぬことで処分する…」とあった。

　大国の水爆実験のアンチテーゼとしてこの映画は作られたそうだが、芹沢博士の死は大衆の幸せの為には個人の死は寛容されるものとして描かれている。
　また街でゴジラが暴れているとき建物が崩れる下で母親（菅井きん）が我が子を抱き締めながら「これで（戦死した）父ちゃんの所へ行けるよ。」と呟くシーンは戦後を描いての死を受けりれるシーンは、今では理解できないシーンである。


　それから６９年経った２０２３年に山崎貴監督が描く「ゴジラ-1.0」は傑作だった。
　この映画でゴジラとの戦いは野田健司（吉岡秀隆）が言うように「この戦いは誰も死なせない戦い」として描かれている。
　特攻隊として出撃しても逃げて、自らの臆病で多くの人間を殺してしまったと悔やむ敷島浩一（神木隆之介）は、想い人大石典子（浜辺美波）が死んだと思い自暴自棄になるが、ゴジラに特攻して死ぬことはなかった。

　だから、ハッピーエンドになって感動的になっているのだ。

　僕は２０２３年１１月３日の封切に見に行き、２週間後にまた見た。
　２回いずれも瞼がウルウルしたのである。