「あなたの戦争は終わりましたか?」laq00e4i
 これは「ゴジラ-1.0」の最後、死んだと思っていた大石典子(浜辺美波)が入院している病院にふたりの血の繋がらない娘明子を抱いて駆けつけた敷島浩一(神木隆之介)に典子が掛けた言葉である。

 自分の臆病で多くの人を死なせてしまい自らが幸せに生きることを拒んでいた敷島がゴジラを倒し、それを吹っ切れたことを確認したことばである。

 十数年前に没した母と一回り以上年上の叔父は、徴兵されて終戦時にソ連軍の捕虜となり数年間シベリアに抑留されていた。
 彼の話によれば粗末な食事で重労働させられ毎日生きることに執着していたとか。
 同僚の中には朝になると冷たくなっている人が幾人も居たとか。
 
 この叔父はよく深酒をしてベロベロになっていた。
 そんな叔父の姿を見るのが嫌いだった。
 思春期の中学生以降は凄く蔑んでいた。

 歳が老してきて「ゴジラ-1.0」を見て、典子の「あなたの戦争は終わりましたか?」と言うセリフを聞いた時に、叔父の戦後は死ぬまで終わらなかったのではないかと思えた。
 生きることに執着して口にはできないことも有ったかも知れない。
 その悔やみ恨みを酒で誤魔化していたのでないかと考える。

 もはや鬼籍に入ってしまった叔父にそれを確かめることは出来ないが多分間違いはないだろう…。