昨夜妻とレイトショーで映画『国宝』を見て来た。妻は歌舞伎に少し造詣があり、名古屋の御園座で、間近に見た経験から女形五代目坂東玉三郎のファンである。
彼女によると、この映画は五代目坂東玉三郎をモデルにしているのではないかと想えるらしい。
五代目玉三郎は、梨園の出でない。
彼の踊り才能を見出した十四代目 守田勘弥の養子になって梨園にはいったのだ。
彼は幼い頃小児麻痺を患い、ご母堂の躾で踊りを習ったらしい。
小児麻痺の後遺症をリハビリで克服したそうである。
数々の苦難を克服しつつ精進を続けて今日の地位を築きあげ、現在の歌舞伎界における希有の存在となった。
当然重要無形文化財保持者(人間国宝)である。
映画『国宝』の主役は、吉沢亮が演じる立花喜久雄(花井東一郎)、準主役は、横浜流星が演じる大垣俊介(花井半弥)である。
立花喜久雄は長崎の任侠一門に生れた。
美し顔を持った彼は、抗争により任侠の父親を失った後、上方歌舞伎女形の名門当主、渡辺謙演じる花井半二郎に拾われて、梨園に飛び込むのである。
花井半二郎には、俊介と言う実子が居る。
俊介は生まれながらに歌舞伎界での将来が約束されているが、喜久雄は只の部屋子である。
生い立ちも才能も異なる二人が、ライバルとしてお互いに芸を高め合い、歌舞伎に青春を捧げて行く。
その後は色々な人との出会いと別れが運命の歯車を大きく狂わせて行くのである。
それが悲しく辛い。
梨園の血筋と才能を取り巻く歓喜と絶望、信頼と裏切り…。
そんな歌舞伎界を生き抜き人芸国宝に上りつめた立花喜久雄(花井東一郎)。
若くして人間国宝に認められた立花喜久雄(花井東一郎)は記者会見を受ける。
その後女性カメラマンの撮影に付き合うのだがその女性がファインダーを覗きながら、「芸者をしていた藤駒を覚えているか?」と尋ねる。
その女性カメラマンは、立花喜久雄(花井東一郎)が元芸子藤駒との間に生した隠し子であった。
幼い彼女は立花喜久雄(花井東一郎)に凄く懐いていたが、歌舞伎界の頂点目指すため立花喜久雄(花井東一郎)はその母娘を捨てたのである。
彼女は続ける。
「私は貴方を父親と思った事はありません!
でも、歌舞伎で踊る貴方の美しい姿を見ると、祝って何でも許されるお正月が来たような気分になり、思わずイッパイ拍手をしてしまう。
全てを捨てるからと、悪魔にお願いしたお陰で、歌舞伎界の高いところに上がって良かったですね。」
その我が娘の言葉に、立花喜久雄(花井東一郎)が微笑むのである。
よく出来た感動的な映画であった。
立花喜久雄(花井東一郎)と大垣俊介(花井半弥)が、藤娘などを舞台で踊るシーンはよく描かれていて、思わず拍手しそうになった。
梨園って凄い所だ…。
伝統文化を受け継ぐのだから仕方ないか…
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