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実家は碧南市棚尾町に近い西尾市であったから、よく碧南市棚尾町に行った覚えがある。
幼かったので何処にあった店かは覚えれいないが、和菓子屋で『酒饅頭』というお菓子を食べさせて貰った事は憶えている。
美味しかったので、何という饅頭か祖父に尋ねたところ『酒饅頭』という物だと教えられた覚えがある。
そのころ春に行われる田植えは人力で行われた。
家族では人手が足りないと、他人の手を借りることが多かった。
実家は、田畑が隣の碧南市棚尾町に住む老夫婦が手伝ってくれたものである。
その日は予め用意したお菓子を振舞って、手ごろな時間に休憩がとられた。
そのお菓子は、母親が用意していたが、その中に毎年三角型の『田舎ういろう』があった。
黒糖か抹茶の2種類しかなかったが、親父少年はこの甘い『田舎ういろう』が好きであった。
6月21日三ヶ根山山頂駐車場で開催された『あじさいフィスティバル』で、色々な『田舎ういろう』を売る出店が有った。
西尾市東幡豆町にある『福寿堂』と言う和菓子屋の出店であった。
その時はヨモギ柚子の田舎ういろうを食べた。
美味かった。
手の込んだ技に感動したのである。
いずれその店に行きたいと願っていた親父は、昨日の日曜日に20分ほど自動車を走らせて『和菓子処福寿堂』を訪ねた。高級茶菓子扱う店ではなく、庶民が楽しむ田舎和菓子屋風である。
店に入ると途端に何種類かの『田舎ういろう』が売られていた。
トングで家族用に4種類、自分用に『沖縄黒糖』をトレイに乗せる。
奥には『酒まんじゅう(こしあん)』が売っていたのでこれも…。
『酒まんじゅう』の薄皮に仄かな酒の香り、中にはたっぷりの漉し餡が詰まっていた。餡は仄かな甘みに抑えれれていて満足した。
60年程前に祖父と味わった酒饅頭と同じ味であるかは覚えがないが、美味い。
祖父が存命であれば(無理であるが)、味わせたい美味さである。
親父が『沖縄黒糖田舎ういろう』を味わったのは訳が有る。
今でも色々な和菓子屋で作られた田舎ういろうがあるので、敢えてシンプルな田舎ういろうを味わって、それと比べてみようと思ったのである。
軍配は福寿堂に上がる。
沖縄の景色が見えるような味わいである。
風に揺れる砂糖キビ畑が見えた。
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