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hayakuchi_bouzu_byoubu 昔話の中のお坊さん、特に和尚さんは仏法による悟りが無い。
 欲張りである。

 
 60年程前祖父が口伝えで教えてくれた昔話。

 和尚さんが檀家の法事に行って、重箱いぱいの牡丹餅を貰って来た。
 寺に帰り部屋で牡丹餅をひとつ食べると至極美味い。
 小僧たちにやるには惜しい。

 そこで、重箱の蓋を被せながら和尚が呪文をかけた。
 「牡丹餅や、牡丹餅や、私の前では牡丹餅でいろ。
 他の者、特に小僧たちの前では蛙になれ!」

 そうすると、牡丹餅の入った重箱を風呂敷で包み飾り棚に乗せたのである。

 和尚さんが檀家から風呂敷包みを持って帰って来たが、何を貰って来たのだろうか興味津々で襖の隙間から覗く小僧たち。
 「和尚さんは何を…」


 和尚さんが出かけて留守の間に、小僧たちは牡丹餅を食べ切ってしまった。
 そして田圃で捕まえて来た蛙を元あった牡丹餅の数重箱に積めて風呂敷で包んで、和尚さんの部屋の飾り棚に戻した。


 小僧たちは粛々と境内の掃き掃除や廊下の拭き掃除をしている。

 用事が住み寺に帰った和尚さんは、残りの牡丹餅をたいらげようとイソイソと部屋へ入って行った。
 刹那、和尚さんの叫び声が聞こえた。
 
 「蛙や、蛙!私だ! 牡丹餅に戻れ!」

 「蛙や、蛙!私だ! 牡丹餅に戻れ!」



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 親父がradikoでよく聞くCBCラジオの『北野誠のズバリ!』の金曜日はTBSラジオの『朗読の時間』挿入される。

 その日は夢久作『ツクツク法師』であった。

 ある寺の和尚の話。
 檀家に法要に行ったりしてお布施で稼いだお金を壺に入れて貯めていた。
 しかし泥棒に取られてては大変と、その壺を境内にあった樫木の根元に埋めて、樫木に「お前にこの金をやるから、しっかり守れ!」と呪文。


 以来夜になると「カチ、カチ」とお金を数える音が寺から聞こえるようになった。

 村はその年飢饉になり米が採れない。
 困った若者が和尚に「他から米を買うから、金を貸しれくれ。」と懇願したが、和尚は「貸せる金は無い。」の一点張り。


 自分の生活がかかった話で、夜な夜な「カチ、カチ」とお金を数える音がするから和尚は金を持っている筈であると、村の若者が大挙して和尚を締め上げた。

 和尚は仕方なくお金が入った壺を埋めた辺りを示した。
 若者たちが樫木の根元を掘ると、壺を見つけたが壺にはお金ではなく、樫木の根っこしか入っていない。

 それを見た和尚は、「樫木に「お前にこの金をやるから、しっかり守れ!」と言ったから、樫木にお金を取られた。」と言った。

 「何、訳の判らない事を言う。 隠さないで早く金をだせ!」
 若者たちは怒って和尚を壺に押し込めて、樫木の根元に埋めてしまった。

 
 和尚は蝉に生まれかわり、「(樫木にお金を取られて)つくづく惜しい!」
 「つくづく惜しい!」
 「ツクツクボウシ」

 和尚はツクツク法師に生まれかわったのである。
















ツクツク法師
夢野 久作
2012-09-13



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