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長年連れ添った夫婦だから、その一言で「今日も始まったな」と思う。
親父は早速、妻の肩を揉む。
結婚して四十年ともなると、肩を揉む手つきもすっかり板についてきた。
若い頃は照れもあったが、今では朝の挨拶のようなものだ。
もっとも、肩を揉んでいるのは妻のためだけではない。実は、脊髄小脳変性症を患っている親父にとって、妻の肩揉みは格好の手先のリハビリでもある。
指先を動かし、力加減を調整しながら揉むことは、私自身の機能維持にもつながっている。
「もう少し強く」「そこそこ、気持ちいい」
妻の注文はなかなか細かい。
時には厳しい評価を受けることもあるが、それもまたありがたい。
妻は肩がほぐれ、親父は手先を鍛えられる。
まさに一石二鳥である。
病気になってから、以前のようにできなくなったことを数えることが増えた。
しかし、こうして誰かの役に立ちながら、自分のリハビリもできることに気づくと、まだまだできることはあるのだと思える。
アメリカ合衆国製「TheraPutty(セラパテ)」での指先リハビリに加えて、妻の肩もみも有効なリハビリである、
今朝も妻の「肩こりが酷い!」の一言から、我が家の一日が始まった。
願わくば、妻の肩も親父の手先も、少しずつでも元気になっていってほしいと思うのである。
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