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 「1リットルの涙」という題名を初めて聞いたとき、人は一生のうちにそんなに涙を流すものだろうかと思った。

Copilot_20260710_205023 ところが、木藤亜也さんの日記を知ると、1リットルどころか、零れなかった涙の方が多かったのではないかと思えてくる。

 15歳で脊髄小脳変性症を発症し、25歳で旅立だた彼女。
 その十年は、病気と闘った十年というより、生きることを諦めなかった十年だった。

 同じ病気を抱える親父は、もう「爺」と呼ばれる歳になった。
 歩くことも、字を書くことも、思うようにならない日がある。

 昨日まで出来たことが、今日は出来ない。
 そんな日は、病気より先に気持ちが転びそうになる。

 それでも、亜也さんの言葉に出会うと、「もう少し頑張ってみようか」と思えるから不思議である。
 若くして命を終えた彼女と、こうして年老いた親父。

 「代われるものなら代わってあげたかった」と言えば格好はいいが、実際にその苦しみを代わることなど誰にもできない。
 だからせめて、彼女が残してくれた勇気を、今日という一日に少しだけ借りる。

 人は病気になると、不自由なものばかり数えてしまう。
 しかし、不自由を知るからこそ、家族の笑顔や、季節の風や、一杯のお茶のありがたさに気づくこともある。

 涙は悲しい時だけのものではない。
 嬉しい時にも流れるし、感謝しても流れる。

 木藤亜也さんの流した涙は、多くの人の心を潤す雨になった。
 親父もいつか、「あの爺さん、最後までよく笑っていたな」と言われるような生き方をしたい。

 病気に勝つことは難しくても、病気に人生まで負ける必要はない。
 そう自分に言い聞かせながら、今日もゆっくり、一歩ずつ歩いていこうと思う。







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