先日、浜松に住む娘夫婦の家へ遊びに行った。

 リビングの片隅では、Roombaがホームベースの上で静かに休暇中だった。
 あの姿は、仕事を終えた駅員さんが仮眠室でひと息ついているようにも見える。

 娘に聞くところによると、このRoombaは掃除機になるだけではなく、フローリングを水拭き掃除もしてくれるらしい。


 そういえば我が家にも12年ほど前、新築の頃にはお掃除ロボがいた。
 夜、寝る前にスイッチを入れておけば、朝には床がきれいになっている。
 文明の利器とは、なんとありがたいものかと感心したものだった。

 ところが、その便利さには条件があった。
 床に置いてある新聞、座布団、コード、お菓子の袋…。お掃除ロボが働きやすいように、こちらが先に片付けなければならないのである。

 「掃除をするために掃除をする。」
 なんとも禅問答のような毎日だった。

 そのうち、「自分で掃除機をかけた方が早いじゃないか」という結論になり、我が家のお掃除ロボは静かに引退した。


Copilot_20260713_090423 そんな昔話を妻にすると、間髪入れずにこう言った。
「我が家は、あなたがRoombaになればいいから。」

 なるほど、親父には充電器はいらない。
 ご飯を食べれば動く。
 多少ふらつくのは脊髄小脳変性症のご愛嬌だが、それでも部屋の中をゆっくり回って掃除くらいはできる。

 ただ一つだけ、本家Roombaに勝てないことがある。
 本家は文句ひとつ言わず、黙々と働く。
 親父は掃除をしながら、「この本は誰が置いた」「この新聞は昨日のだろう」と、つい口まで動いてしまう。
 どうやら我が家では、お掃除ロボよりも、おしゃべりロボの方が働いているらしい。




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