畑というものは、不思議な場所である。

 昨日まで「ちょっと草が伸びてきたかな」と思っていた景色が、数日後には「ここは北海道の牧場ですか」と尋ねたくなるほどの大草原になっている。


PXL_20260713_084024455~2 夕方、茄子やピーマン、万願寺とうがらしを収穫しようと畑へ向かった。
 ところが、畑に着いた瞬間、親父は立ち尽くした。
 野菜がない。


 いや、正確にはあるのだろう。
 しかし草の勢いがあまりにも立派で、茄子もピーマンも万願寺とうがらしも、草原の住人になってしまっている。

 その光景を見た途端、頭の中にあの懐かしいメロディーが流れ始めた。
 「♪はるか草原を……」
 そう、アニメ「母をたずねて三千里」のオープニング、「草原のマルコ」である。

PXL_20260713_085206796~2 違うのは、マルコが母を探していたのに対し、親父は茄子を探していることぐらいである。
 「茄子よ、おまえはどこへ行ったんだ。」

 草をかき分け、一歩進む。
 「あっ、いた。」
 今度はピーマンを探す。
 「あっ、いた。」
 まるで宝探しである。


 畑仕事というより、野菜発掘調査隊である。
 雑草というものは実に元気だ。
 肥料をやらなくても育つ。水をやらなくても伸びる。

 一方、野菜は「暑いですねえ」「虫がいますねえ」と、何かと手がかかる。

 人生も同じなのかもしれない。
 放っておけば、心にも雑草が生える。

 愚痴や怠け心は、野菜よりずっと成長が早い。
 だから、ときどき草を抜き、心にも風を通してやる。
 畑で汗を流しながら、親父は今日も口ずさんでいた。
 「♪さあ出発だ、今、陽が昇る……」
 ただし、親父の目的地はアンデスではない。
 草原の向こうに隠れている万願寺とうがらしなのである。








人気ブログランキング
人気ブログランキング


にほんブログ村 花・園芸ブログ 野菜のみ(家庭菜園)へ
にほんブログ村

にほんブログ村 花・園芸ブログ 野菜のみ(家庭菜園)へ
にほんブログ村


ブログランキング・にほんブログ村へ