テレビのニュースを見ていると、ときどき胸がヒヤリとする。
「駅前で通り魔事件」 「商店街で刃物を持った男」 「住宅街にイノシシ出没」
最近もイノシシが人を襲ったというニュースが流れていた。
相手は野生動物だから、こちらの都合など考えてはくれない。
一直線に突進してくる。
そんなニュースを見るたび、脊髄小脳変性症の親父は、つい自分を重ねてしまう。
「もし親父だったら……。」
逃げられない。
健康な人なら百メートルでも二百メートルでも夢中で走れるだろう。
しかし親父は、歩くこと自体がリハビリである。
急に走れと言われても、体は思うように動かない。
若い頃は「逃げる」なんて誰でもできることだと思っていた。
ところが病気になって初めて知った。
逃げることにも才能がいる。
転ぶことなく駆け出せる足。
素早く向きを変えられる体。
それは健康という財産だったのである。
ニュースでは「その場から逃げてください」と簡単に言う。
もちろん、それが正しい。
しかし、逃げたくても逃げられない人がいることも、世の中には少しだけ知っていてほしい。
だから親父は今日も思う。
危ない場所には近づかない。
周囲をよく見る。
無理をしない。
逃げ足に自信がないのなら、危険に近寄らないことが一番の護身術なのである。
若い頃には考えもしなかったが、人間は年を重ね、病を抱えると、「無事に家へ帰る」という、ごく当たり前の一日が、実はとてもありがたいことだったのだと気づくのである。

人気ブログランキング

にほんブログ村

にほんブログ村

「駅前で通り魔事件」 「商店街で刃物を持った男」 「住宅街にイノシシ出没」
最近もイノシシが人を襲ったというニュースが流れていた。
相手は野生動物だから、こちらの都合など考えてはくれない。
一直線に突進してくる。
そんなニュースを見るたび、脊髄小脳変性症の親父は、つい自分を重ねてしまう。
「もし親父だったら……。」
逃げられない。
健康な人なら百メートルでも二百メートルでも夢中で走れるだろう。しかし親父は、歩くこと自体がリハビリである。
急に走れと言われても、体は思うように動かない。
若い頃は「逃げる」なんて誰でもできることだと思っていた。
ところが病気になって初めて知った。
逃げることにも才能がいる。
転ぶことなく駆け出せる足。
素早く向きを変えられる体。
それは健康という財産だったのである。
ニュースでは「その場から逃げてください」と簡単に言う。
もちろん、それが正しい。
しかし、逃げたくても逃げられない人がいることも、世の中には少しだけ知っていてほしい。
だから親父は今日も思う。
危ない場所には近づかない。
周囲をよく見る。
無理をしない。
逃げ足に自信がないのなら、危険に近寄らないことが一番の護身術なのである。
若い頃には考えもしなかったが、人間は年を重ね、病を抱えると、「無事に家へ帰る」という、ごく当たり前の一日が、実はとてもありがたいことだったのだと気づくのである。
人気ブログランキング
にほんブログ村
にほんブログ村
コメント