先日、再放送でNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」の「旅する家族、春をつなぐ〜養蜂家・藤井髙治〜」を観た。
2023年6月28日に初回放送された番組である。
花を追いかけ、鹿児島から青森、そして北海道へと、ミツバチとともに日本列島を旅する転地養蜂家の姿を追った内容だった。
親父は、蜂蜜はスーパーの棚に並んでいるものだと思っていた。
ところが、その一本の瓶の向こう側には、何十万匹という蜂と、それを率いる養蜂家の60年が詰まっていたのである。
蜂はカレンダーを見ない。
「今日は四月一日だからレンゲを咲かせよう」などとは考えない。
花も「そろそろゴールデンウイークだから満開になろう」とは思わない。
自然には、人間の都合というものが一切通用しない。
だから藤井さん一家は、自然の都合に自分たちを合わせる。
これが実に気持ちいい。
現代人は、何でも自分の都合に自然を合わせたがる。
エアコンで季節を変え、冷蔵庫で旬を延ばし、スマホで時間まで短縮しようとする。
しかし蜂だけは、「それでは困ります」と言う。
花が咲かなければ蜜は集まらない。
その単純な事実の前では、人間の知恵も肩書も関係ない。
番組を見ながら、親父は妙に胸を打たれた。
脊髄小脳変性症という病気になってから、思うようにならないことが増えた。
以前のような速さでは歩けない。
身体の都合ではなく、身体に合わせて生きるしかない。
それはどこか、花に合わせて旅をする養蜂家の姿と重なって見えた。
無理に逆らわない。
自然を相手に焦らない。
それでも毎年、春は来ると信じて旅を続ける。
その生き方は、「仕事の流儀」というより、「人生の流儀」だった。
番組が終わったあと、親父は冷蔵庫から蜂蜜を取り出し、スプーンにひとさすくい舐めた。
甘かった。
いや、甘いだけではない。
花の香りと、蜂の羽音と、一家60年分の人生が、ほんの少し混じっているような味がしたのである。

人気ブログランキング

にほんブログ村

にほんブログ村

2023年6月28日に初回放送された番組である。
花を追いかけ、鹿児島から青森、そして北海道へと、ミツバチとともに日本列島を旅する転地養蜂家の姿を追った内容だった。親父は、蜂蜜はスーパーの棚に並んでいるものだと思っていた。
ところが、その一本の瓶の向こう側には、何十万匹という蜂と、それを率いる養蜂家の60年が詰まっていたのである。
蜂はカレンダーを見ない。
「今日は四月一日だからレンゲを咲かせよう」などとは考えない。
花も「そろそろゴールデンウイークだから満開になろう」とは思わない。
自然には、人間の都合というものが一切通用しない。
だから藤井さん一家は、自然の都合に自分たちを合わせる。
これが実に気持ちいい。
現代人は、何でも自分の都合に自然を合わせたがる。
エアコンで季節を変え、冷蔵庫で旬を延ばし、スマホで時間まで短縮しようとする。
しかし蜂だけは、「それでは困ります」と言う。
花が咲かなければ蜜は集まらない。
その単純な事実の前では、人間の知恵も肩書も関係ない。
番組を見ながら、親父は妙に胸を打たれた。脊髄小脳変性症という病気になってから、思うようにならないことが増えた。
以前のような速さでは歩けない。
身体の都合ではなく、身体に合わせて生きるしかない。
それはどこか、花に合わせて旅をする養蜂家の姿と重なって見えた。
無理に逆らわない。
自然を相手に焦らない。
それでも毎年、春は来ると信じて旅を続ける。
その生き方は、「仕事の流儀」というより、「人生の流儀」だった。
番組が終わったあと、親父は冷蔵庫から蜂蜜を取り出し、スプーンにひとさすくい舐めた。
甘かった。
いや、甘いだけではない。
花の香りと、蜂の羽音と、一家60年分の人生が、ほんの少し混じっているような味がしたのである。
人気ブログランキング
にほんブログ村
にほんブログ村
コメント