畑というものは不思議な場所である。

 人間は「よし、今日は畑仕事をするぞ」と決意して向かうのだが、畑のほうは「ああ、そうですか」とはならない。
Screenshot_20260730-155751 向こうにも向こうの都合があるらしい。
 わが家の畑は、このところ見事なまでに草原になっていた。

 「畑」というより「原っぱ」である。ウサギでも飛び出してきそうな勢いで雑草が育っている。
 それを見かねた妻が、草刈り機を担ぎ出した。
 ブィィィーン。
 文明の利器は実に頼もしい。あれほど威勢のよかった草たちが、みるみる地面へ平伏していく。

 そのあとを受けて、7月25日の夕方、親父は耕運機で畑を耕した。
 ところが、畑はまるでコンクリートである。
 雨が降らなかったものだから土がカチカチに固まり、耕運機の刃が少しも地面へ入っていかない。

 その代わりに耕運機のほうが、ピョン、ピョンと飛び跳ねる。
 「耕運機」というより「ホッピング機」である。

PXL_20260728_204432787~2 あの重たい機械が跳ねるのだから驚く。
 操縦している親父のほうが振り回され、「どちらが耕されているのかわからない」という状態になった。

 ところが28日、待望の豪雨がやって来た。
 雨というものは、降るときは「もう結構です」と言いたくなるほど降る。

 しかし畑は正直である。
 翌朝には土がほどよく湿り、「さあ、耕してください」と言わんばかりの柔らかさになっていた。

 もっとも、それより先に元気を取り戻したのが雑草である。
 「あれ? 一週間前に切られませんでしたか?」
と聞きたくなるほどの復活力だ。

 植物界には「反省」という言葉は存在しないらしい。
 早朝から草取りを始めたものの、脊髄小脳変性症の親父の動きは、実にのんびりしている。

 一本抜いて、ひと休み。
 また一本抜いて、「お、いい草が抜けた」と眺める。
 競争相手がいるわけではないが、雑草の増える速さと親父の草取りの速さでは、どうも雑草が勝っている気がする。

 それでも、この頃の酷暑では安城産業文化公園デンパークを歩くのもなかなか大変だ。
 だったら、自主歩行リハビリの舞台を畑へ移せばいい。
 一歩歩いて草を抜き、また一歩歩いて草を抜く。

 デンパークには美しい花が咲いているが、畑にはたくましい雑草が咲いている。
 どちらも歩くことには変わりない。

 ただ、畑のほうは歩いた分だけ野菜が喜び、雑草が泣く。
 そう考えると、この夏のリハビリは、案外、畑がいちばん贅沢な介護予防通所リハビリなのかもしれない。












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