ソルティライチという飲み物は、名前だけ聞くと首をかしげる。

Copilot_20260730_193334 ライチはわかる。
 南国の果物である。
 甘くて上品な香りがする。

 では、そのライチに塩を振るとは何事か。
 初めて聞いたときは、「スイカじゃあるまいし」と思った。
 ところが、飲んでみると驚く。
 甘いのにさっぱりしている。
 塩辛いわけでもない。
 塩は裏方に徹していて、「私はここにいます」と主張しない。
 名脇役なのである。

 人間もこうありたい。
 暑い日に汗をかき、喉がカラカラになったとき、ソルティライチをひと口飲むと、「ああ、生き返った」という言葉が自然に出る。

PXL_20260730_103027516~2 タイの家庭で親しまれている、果物と塩を組み合わせた知恵から生まれた飲み物だそうだ。
 キリンのソルティライチは、沖縄の海塩を使って、ライチの甘さを引き立てている。

 昔は夏の飲み物といえば、麦茶であった。
 縁側で風鈴を聞きながら麦茶を飲む。
 コップには氷がカランと鳴る。それだけで夏休みだった。

 今は違う。
 「熱中症に気をつけましょう」と朝から晩まで言われる時代である。
 水分だけでなく塩分も補給しましょう、と言われる。ソルティライチは、そんな時代の申し子なのだ。

 考えてみれば、人間も塩加減が難しい。
 褒めすぎると甘くなる。
 叱りすぎるとしょっぱくなる。

 人生も会話も、ひとつまみの塩がちょうどいい。
 ソルティライチを飲みながら、そんなことを考えていると、気がつけばペットボトルは空になっていた。
 夏とは、喉で季節を味わうものなのである。






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