最近、「地球温暖化の原因はCO₂です」と聞くたびに思う。
 CO₂というやつは、ずいぶん忙しいガスである。

 昔は理科の時間に「植物の大好物です」と教わった。
 光合成のごはんである。
 ところが今ではテレビをつければ「温暖化の犯人です」と追われている。
 まるで昨日まで町内会長だった人が、今日は指名手配になったような扱いである。

Copilot_20260829_190730 親父は息を吐く。
 「はあー。」

 この「はあー」にもCO₂が含まれている。
 すると、地球温暖化に一役買っているのか、と一瞬申し訳ない気持ちになる。
 だが息を止めるわけにもいかない。
 そんな健康法は聞いたことがない。

 実はCO₂そのものは悪者ではないらしい。
 もともと地球には必要な気体で、これがあるおかげで地球は平均約14度。
 もしCO₂など温室効果ガスがなければ、地球は氷点下19度くらいになってしまうという。

 つまり、CO₂は「毛布」の役目をしている。
 問題は毛布を何枚も重ね掛けしてしまったことらしい。
 石炭や石油をたくさん燃やし、大気中のCO₂が増えた結果、毛布が厚くなりすぎた、というわけだ。
 科学者たちも、人間活動によるCO₂増加が現在の温暖化の主な原因だと結論づけている。 

 毛布と聞くと安心するが、真夏に羽毛布団を三枚掛けられたら誰だって逃げ出す。
 今年の夏、親父は朝五時から畑の草取りをする。
 七時を過ぎると空調服がブーンとうなり、熱中症計が「ピーピー」と鳴く。

 「もう帰れ。」
 機械に叱られるのである。

 昔はセミが鳴き始める頃に外へ出た。
 今はセミより先に熱中症計が鳴く。
 時代は進歩したのか退歩したのか。

 温暖化の話になると、「いや、昔だって暑かった」という人もいる。
 それも本当だろう。
 暑い夏は昔からあった。
 ただ、最近はその暑さが長く続き、豪雨や猛暑が増えていることが世界中で観測されているらしい。 


 親父は難しい気候モデルは分からない。
 だが畑の雑草だけは知っている。
 暑くても元気。
 雨が降ればもっと元気。
 三日放っておくと「お久しぶりです」と言わんばかりに顔を出す。

 もし雑草が地球温暖化会議を開いたら、「今年も順調ですなあ」と乾杯しているに違いない。
 人間だけが汗をかいているのである。



 8月1日に別宅『爺の風は強く吹いている』を開設しました。
 併せてお楽しみください。




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