今朝のニュースは青森県の豪雨だった。
 線状降水帯が居座り、川があふれ、床上浸水の家が次々と映る。
 見ているだけで「これは大変だ」とこちらの肩まで重くなるような映像だった。
 県内では家屋の浸水被害が相次ぎ、避難指示や緊急安全確保も出されたという。 



copilot_image_1788415214145 その中で、一人の女性がインタビューを受けていた。
 50代くらいだろうか。
 記者が「被害はどうでしたか」と聞くと、その女性は笑いながらこう言った。

 「床上浸水になって、布団もベチョベチョ!」
 「ベチョベチョ」である。

 普通なら泣きたくなる場面だ。
 布団が濡れたら、その晩どう寝るのだ。
 思い出の写真も家具も、みんな水をかぶったかもしれない。
 それなのに、その人は「ベチョベチョ!」と笑った。

 親父はテレビの前で思わず「えらい人だなあ」と声が出た。
 災難というものは、本人が一番つらい。
 周りは「大変ですね」と言えるが、本当の大変さは当人しか知らない。
 それを笑える人がいる。


 考えてみれば、親父も脊髄小脳変性症になってから、歩けばヨタヨタ、階段ではヒヤヒヤ、杖とはすっかり腐れ縁である。
 ここで毎日「なんでだ、なんでだ」と眉間にしわを寄せても、病気は「そうですか」と帰ってくれない。
 だったら、「今日も身体がヨタヨタ、ベチョベチョならぬフラフラ!」と笑ったほうが少し得ではないか。

 人生は擬音語で生きると少し軽くなる。
 「ベチョベチョ」「ヨタヨタ」「ヘロヘロ」。
 音にしてしまうと、不思議と悲壮感が半分くらい蒸発する。

 親父は決めた。
 災難は災難として受け止める。
 でも、その上に少しだけ笑いを振りかける。

 人生、どうせなら「ヨタヨタ人生、上等!」くらいの顔で歩いていこうと思うのである。



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