プレゼントは何にしたか。
ネックレスでもバッグでもない。「本日の家事一切」である。
このプレゼントは包装紙もリボンもいらないが、体力と覚悟がいる。
まず朝一番、洗濯機の前に立つ。
洗濯機というものは毎日妻が黙って回しているので、こちらは「ボタンを押せば回る機械」くらいに思っている。
洗濯機というものは毎日妻が黙って回しているので、こちらは「ボタンを押せば回る機械」くらいに思っている。
ところが違う。
「普通コース?」
「いや、その前に洗剤。」
「え、柔軟剤は?」
先生は妻、生徒は親父である。
親父は洗濯機に向かって「はい」「はい」と返事をする。
64歳の妻から、8ヶ月年上の親父が洗濯機を習う。
人生とは面白い。
64歳の妻から、8ヶ月年上の親父が洗濯機を習う。
人生とは面白い。
今日は雨なので浴室乾燥で干すことになった。
バーにシャツを並べるのだが、妙に間隔が気になる。
近すぎても乾かないらしい。
洗濯物にもソーシャルディスタンスがあるのである。
近すぎても乾かないらしい。
洗濯物にもソーシャルディスタンスがあるのである。
昼はスガキヤの特別ラーメン。
さて問題は夕飯である。
親父の料理レパートリーは長いこと二品だった。
炊き込みご飯。
カレーライス。
この二枚看板だけで家庭料理界を歩いてきた。
しかし今日、新人がデビューする。
ハヤシライス。
ルーの箱を見ながら鍋をかき混ぜる姿は、初舞台の役者である。
すると頭の中で、名古屋弁が聞こえてきた。
昔のCMのあの一言である。
カレーだけではない。
ハヤシもある。
ハヤシもある。
人生もそうかもしれない。
病気になって、できないことは増えた。
でも洗濯を覚え、干し方を覚え、料理も一つ増えた。
病気になって、できないことは増えた。
でも洗濯を覚え、干し方を覚え、料理も一つ増えた。
64歳の誕生日に妻へ贈ったのは、物ではなく「今日は座っていてね」の一日。
そして親父は胸を張って言う。
「カレーだけじゃないでよ。ハヤシもあるでよ。」




コメント
コメント一覧 (2)
オリエンタルのハヤシドビーというのがあります。
懐かしい味なので一度つかってみてください!
市川海老之助
が
しました
市川海老之助
が
しました